おしゃべりな家庭科室で。

 安心したら、お腹が減ってきた。
 ぐうううう、とお腹も鳴る。
 恥ずかしい、穴があっら入りたい!

「とりあえず、紗藤と早乙女はクレープ屋に薄力粉が余ってないか聞いてきてくれ」

 栗谷くんはそこまでいうと、こうつけ加える。

「聞くだけじゃ申し訳ないし、クレープ買ってこいよ?」
「え、何人分? 四人分?」

 そういって、わたしたちの顔を見た麗に栗谷くんが答える。

「一つはその腹ペコキッズ即食べさせてやれ」

 栗谷くんはわたしを見てにやりと笑った。

「キッズじゃないし!」
「おれのルールでは、朝飯抜いてくるやつはみんなキッズだ」
「キッズはむしろちゃんと食べるでしょ」

 麗は呆れたようにいうと、わたしを引っ張ってクレープ屋へ。
 

「よかったね!」

 二個のクレープを抱えて、麗はご満悦。

「いや、よくないよ……。薄力粉、ちょっとならわけてもらえるって、それじゃあたこ焼きできないし」

 わたしも同じようにクレープを抱えながらいう。

 そうなのだ。
 クレープ屋で四個のクレープを買い、「薄力粉って余ってませんか? うちの屋台、粉が切れちゃって」と麗が聞いたら。
「ごめんねー。うちもギリギリで! ほんのちょっとなら分けられるんだけど……え、たこ焼き?! それはちょっと難しいなあ」といわれたのだ。

 それなのに、なぜか麗はうれしそう。
 クレープが美味しそうだから?

「ちがうちがう、そのことじゃなくて。栗谷くんのこと! やっぱ彼女じゃないじゃん!」
「ああ、そのことね」
「よかったねー。ってゆーか、やっぱ好きなのは楓なんだって!」
「それはよくわからないけど」
「そうなの。もー、両想いのくせにお互いに素直じゃないんだからー」

 麗はそういいながら、たこ焼き屋に戻り、クレープを栗谷くんと戸成くんに渡す。