おしゃべりな家庭科室で。

 栗谷くんは、黙ったまま看板を持って歩き出す。

 近づいてくるのは、「わー、イケメン」と近づいてくる女子生徒や、逆ナン目的のお姉さんばかり。
 かといって、たこ焼き屋の看板には目を留めてくれない。
 呼び込み、難しいな……。

「いかがですか?」

 その声に前を見ると、見知らぬ女子が立っていた。
 たぶん二年生だ。リボンが緑だから。

 二年生女子は、何かを持っていた。
 それは、きれいな飾りのついた指輪。

「わぁ。きれい」

 思わずわたしは指輪を見る。
 花とかハートとか形も色もさまざまな飾りのついた指輪は、見ているだけでワクワクした。

「これ、飾りの部分は陶器でできてるんですよー」

 二年生女子は、わたしにいうと、栗谷くんを見て続ける。

「彼女さんにどうですかー?」

 ん? わたしと栗谷くんをカップルだと思ってる?
 それとも、栗谷くんに彼女がいる体で話してる?

「とりあえず今は大丈夫です」

 栗谷くんがそういうと、「じゃあ、二年二組で販売してますんで、また来てくださいねー」と二年生女子は立ち去った。

 彼女っての、否定しなかった。
 でも、別に肯定されてもいないな……。
 あー、もう、栗谷くんのちょっとした言葉に振り回されてる!