おしゃべりな家庭科室で。

「はぁ……。校舎内に来たのがマズかったか」

 戸成くんの代わりに看板を持った栗谷くんが、ため息。

「こんな狭い教室でジェットコースターなんて大丈夫かなあ。麗、ケガしちゃうかも……」

 わたしがそういうと、栗谷くんは笑った。

「心配するとこそこかよ」
「だって……」
「見てみろ、あそこ」

 栗谷くんが指さした先には、教室の中が見えた。

 お手製のゴンドラに二人の生徒が乗り、それを何人かのガタイの良い生徒で動かしている。
 いわゆる普通のジェットコースターのように、高い位置にあるわけでも、ましてや回転などするわけじゃないみたいだ。

「もしかして……」
「そう。手動ってこと。なんかトロッコみたいだな」
「確かに新体験かもしれないけど」

 そういってわたしはホッと安心。

「なあ、さっきさ」

 栗谷くんがそこまでいいかけてやめた。

「ん? なに?」
「……朝、泣いてなかった?」

 そういった栗谷くんは、心配そうな表情。
 もしかして、気にしてくれてた?!  
 そう思った瞬間、ドキドキしてくる。

 麗が、栗谷くんはわたしのことを好きだと断言したことも思い出す。
 そんなわけない。
 期待しちゃだめ。
 そう思うのに、心拍数は上がっていく。

「大丈夫。なんでもないから」
「じゃあやっぱ泣いてたんじゃん」
「……目に、大きめのゴミが入っちゃって」
「そうか。それは大変だったな……」

 栗谷くんは、それ以上はなにも聞いてこなかった。
 うっ、気まずい!

 まさか、あなたのせいで泣いてたんですよなんていえない。
 さすがに大きめのゴミが入って泣いてた、は嘘がバレバレだったか。