おしゃべりな家庭科室で。

 文化祭が始まり、わたしと麗、栗谷くんと戸成くんの四人は、呼び込みをはじめる。

「校内行ってみようよ」

『一年一組のいちばんたこ焼き』の看板を持った戸成くんが、そう提案する。

「校内の出し物見て回りたいだけだろ……」
「あっ、バレた? 栗谷は思わないの?」
「……思うけど」
「じゃ、決まり!」

 戸成くんは、意気揚々と先頭を歩いていく。
 それを栗谷くん、わたし、麗で追いかける。


 校内はまるでパーティーみたいだった。
 コスプレ喫茶、お化け屋敷、謎解き、占い屋敷などなど。
 いつもは何の変哲もない教室が、まるで魔法にかかったみたいに輝いている。
 いや、お化け屋敷はちょっと嫌だけど。

「わー、占いやりたい」
「あっ、ねぇねぇ。レトロ喫茶だって。バケツプリンとバケツ……クリームソーダ?」

 わたしと麗は、キョロキョロしながらそういい合う。

「おれら、呼び込みに来てるんだけど」

 冷静なのは栗谷くんだけ。

「うわっ、ちょ、ジェットコースターってなに?!」

 戸成くんが指さした教室は、『新体験! ジェットコースター』と書かれてあった。
「えっ、わたしもめっちゃ気になる」と麗。
「じゃあ、いっしょに行く?」と戸成くん。

「いや、まて。お前ら、純粋に楽しんでるんじゃねーよ」

 栗谷くんが止めと、麗がいう。

「だーいじょうぶ。一回だけ」
「回数関係ねーよ」
「そんなにいうなら、栗谷くんは楓と呼び込みしててよ」
「はぁ?!」

 おどろく栗谷くんをよそに、麗はわたしにウィンク。
 なにをどうしろと?
 ……ふたりきりにしてくれようとしているのは、わかる。

 結局、麗と戸成くんは、ジェットコースターへ行ってしまった。