おしゃべりな家庭科室で。

 食材の声が聞こえる、なんて信じてくれるかわからない。
 でも、麗には話しておきたかった。

「すっごーい」

 麗は、わたしの話を聞き終えると目を輝かせてそういった。

「え、どの辺がすごいの?」
「食材の声が聞こえること!」
「ああ、そっちね。すごいのか、なんなのか……」
「今も聞こえるの? あ、でもここじゃ何もないか」
「最近……ここ数日はなぜか聞こえないんだ」
「そっか。残念。まあ、でも声が聞こえないのも、しかたないのかもね」

 麗はそういってうんうん、とうなずく。

「なんでしかたがないの?」
「だって、今は栗谷くんのことで頭がいっぱいでしょ?」
「うん、まあ……」
「それで、他の声とか、なんかそういう超能力的なところまで、頭が回らないんだよ」
「あー、なるほど……?」
「でもさ、栗谷くんといっしょにいた女の人、彼女じゃないと思うんだよね」

 そういって麗は顎に手を当てた。

「なんでそう思うの?」
「うーん、わたし、栗谷くんの好きな人に心当たりあるから」
「え?! だれ?!」

 わたしがそういって、麗を見ると。
 彼女はイタズラをたくらむ子供みたいに笑う。
 それから、まっすぐにわたしを見ていった。