おしゃべりな家庭科室で。

 それから文化祭の準備期間の間。
 栗谷くんとは口を利かなかった。

 わたしが避けてしまったからだ。
 だって、栗谷くんと話すと、泣いてしまいそうだから。

 最初はいつも通りに話しかけてきて栗谷くんも、わたしの反応がそっけないとわかると。
「なんだよ」とすねて、話しかけてこなくなった。
 これでいいんだ、と自分にいい聞かせた。

 栗谷くんに好きな人がいない、と思っていたわけじゃない。
 むしろいるのが自然だし、もう彼女がいるのかと思っていた。

 だけど、それを想像するのと、本人の口から聞くのはぜんぜんちがう。
 栗谷くんの口から、「好きな人」と聞くのは、予想よりずっとダメージが大きかった。
 まるで本人から、「失恋決定」といわれているようなものだ。


 とうとう文化祭の前日。
 栗谷くんも、麗も戸成くんも、みんなワクワクしている。

 クラス中、ううん、学校のみんながきっと明日の本番を心待ちにしているのだろう。
 わたしを除いて。
 明日、休んでしまいたい。

 だけど、午前中はわたしと麗、それから栗谷くんと戸成くんで呼び込みなんだよね。
 麗を男子の中ひとりにさせるわけにはいかない。
 それに栗谷くんと呼び込みもしたい。
 でも、気まずい!