再び沈黙が訪れる。
わたしは、沈黙に耐え切れず、素朴な疑問を口にする。
「なんでシェフになりたいことを、みんなに隠してるの?」
「……家族に反対されるからな」
「シェフって良い夢なのに」
わたしがそういうと、栗谷くんは少しだけ考えてから答える。
「おれの父さんは、シェフだった」
「へぇ。すごいね」
「かなり腕の良いシェフだったんだ。三ツ星レストランのシェフをして、それでいずれは自分の店を持つってよく話してくれた」
「それでお父さんは、今もレストランで働いてるの?」
「死んだ」
「えっ?」
「死んだ。俺が小学三年生の頃に。過労死だった」
「そんな……」
「おれは父さんの跡を継いでシェフになる決意をした。父さんの夢だった自分の店を持つのも、おれが叶えたいと思ったんだ」
「天国のお父さん、喜ぶよ」
「そうだといいんだけどな……」
「なんで? 喜んでるよ」
「だって、母さんも姉ちゃんも、おれがシェフになるのを反対してる。今度はお前が過労死する、やめてくれってな」
「そんなのどういう仕事だって、働き過ぎたら過労死する可能性あるんじゃ……」
「そうなんだよ。そうなんだけど、母さんと姉ちゃんには、もう理屈じゃないみたいなんだ」
栗谷くんはそこまでいうと黙り込んだ。
「でも、栗谷くんはシェフになりたいんでしょ?」
「うん。でも、家族が反対してると、このままで本当にいいのかな? って思うんだ……」
「栗谷くんは、家族が反対し続けるなら、シェフになりたくないの?」
「ううん。なりたい」
そういった栗谷くんの瞳が見えた。
まっすぐできれいで、星空みたい。
わたしは、沈黙に耐え切れず、素朴な疑問を口にする。
「なんでシェフになりたいことを、みんなに隠してるの?」
「……家族に反対されるからな」
「シェフって良い夢なのに」
わたしがそういうと、栗谷くんは少しだけ考えてから答える。
「おれの父さんは、シェフだった」
「へぇ。すごいね」
「かなり腕の良いシェフだったんだ。三ツ星レストランのシェフをして、それでいずれは自分の店を持つってよく話してくれた」
「それでお父さんは、今もレストランで働いてるの?」
「死んだ」
「えっ?」
「死んだ。俺が小学三年生の頃に。過労死だった」
「そんな……」
「おれは父さんの跡を継いでシェフになる決意をした。父さんの夢だった自分の店を持つのも、おれが叶えたいと思ったんだ」
「天国のお父さん、喜ぶよ」
「そうだといいんだけどな……」
「なんで? 喜んでるよ」
「だって、母さんも姉ちゃんも、おれがシェフになるのを反対してる。今度はお前が過労死する、やめてくれってな」
「そんなのどういう仕事だって、働き過ぎたら過労死する可能性あるんじゃ……」
「そうなんだよ。そうなんだけど、母さんと姉ちゃんには、もう理屈じゃないみたいなんだ」
栗谷くんはそこまでいうと黙り込んだ。
「でも、栗谷くんはシェフになりたいんでしょ?」
「うん。でも、家族が反対してると、このままで本当にいいのかな? って思うんだ……」
「栗谷くんは、家族が反対し続けるなら、シェフになりたくないの?」
「ううん。なりたい」
そういった栗谷くんの瞳が見えた。
まっすぐできれいで、星空みたい。


