おしゃべりな家庭科室で。

 ドキドキしたままのわたしは、栗谷くんがくれたクッキーの袋をそっと開ける。 
 辺りに甘くて香ばしい良い香りがふわりと漂う。
 まだ、ほんのりあたたかい。

 周囲に誰もいないのを確認して、クッキーを一枚だけ食べた。

 サクッとした触感に、口の中でバターの風味が広がり、ほどよい甘さ。
 おいしい。
 これは幸せの味だ。

 クッキーって、こんなにおいしかったっけ。
 栗谷くんが作ったものだから、よけいにおいしいのかも。

 クッキーは家に帰ってからゆっくりと食べることにした。
 こんな美味しいクッキー、麗にも分けてあげたいと思うんだけど。
 でも、どーしても独り占めをしたいって気持ちが強い。

 美味しいものを独占したい、というわけではない。
 栗谷くんの心がこもったクッキー。
 しかも、わたしにくれたもの。
 それを……その想いを独り占めにしたいのだ。

 たとえ、栗谷くんに大した理由がなくてもいい。
 このわたしの気持ちを、大事にしたいと思う。

 ああ……、やっぱわたし、栗谷くんのこと好きなんだなあ。