おしゃべりな家庭科室で。

 薄々、気づいてはいた。
 栗屋くんは見た目もカッコいい。
 だけど、性格がアレだと思っていたけど。

 実は努力家で、シェフの夢に対してひたむきに頑張っている。
 ちゃんと接すると、嫌な奴じゃない。
 むしろ、実はけっこういい奴では?
 ってゆーか、いっしょにいると楽しいかも。

 そう思えば思うほど、栗屋くんのことを考える日が増える。
 家庭科室以外でも会いたいと思うようになってくる。

 これが友情だったら、「今度、遊びに行こうよ」って誘えるけど。
 誘えないし、誘って断られたら傷つくし、誘ってOKもらえても緊張しちゃうし。

 だけど、栗谷くんのこともっと知りたい。
 せめて家庭科室で味見係は続けたい。
 こんなふうにぐるぐると考えてしまうってことは……。

 まあ、恋、だよねえ。たぶん。
 少なくとも、栗谷くんのこと意識はしている。
 それは確かだと思う。

 初恋は実らないというけども。
 そもそも恋をしたことがないので、これが恋なのかどうかもわからない。
 あーあ、なんだか考えるのも疲れてきた。

 そう思って、ベッドに寝転んでため息。

 もし、実ったとしても、わたしが栗谷くんの彼女になったら、「地味な彼女」っていわれちゃうのかな。
 いやいや、彼女って!
 別にわたし、そんなこと、望んでない……わけじゃないけど……。

 でも、もしも、栗屋くんといっしょに出かける機会があったら。
 やっぱり、地味な子連れてるって栗屋くんも思われたくないよね。
 それなら、やっぱダイエットを継続して、スリムな姿を見せよう。

「よし、がんばろう」

 わたしは、こぶしをぐっと握った。
 いつの間にか眠ってしまい、夢を見た。

 夢の中では、わたしと栗屋くん、麗とまだ見ぬ彼氏の四人でダブルデートをしていたのだ。
 目が覚めても、わたしの頬はゆるんでいた。