消えそうな君に夜を捧ぐ

あれからしばらく。

麻央と一緒に水季の家にお線香をあげに行った。

唯織のメモを送ってもらって、何度か見返して泣いたりしたけど、日常を送ると共に、どうにか自分の中に落とし込むことができてきた。

それでも塾の帰り、あの歩道橋には行ってしまう。

思えば唯織と会っていたのはたかだか1ヶ月で大した期間じゃない。

なのにこんなに大きな存在になってしまったんだから不思議なものだ。

今日も変わらずいつもと同じ時間に同じ歩道橋に来た。

でももう下は向かない。

代わりにここで上を見るようになった。

道路を走る車の音を聞きながらゆっくり見上げる。

昏い空には都市らしく控えめに星が瞬いている。