消えそうな君に夜を捧ぐ

そう言って渡されたのは黒くてシンプルなスマホ。

けどその画面には『佐那へ』と題名のついた文章が書かれている。

「これ、私とか親にもあったんだけど、お兄ちゃん事故に遭った後一回も目覚めてないから、いつ書いたんだろうって」

「待って、お兄ちゃんって事故に遭ったの?」

「うん、1ヶ月くらい前に」

私の中で何かがはまった気がした。

「あのさ、お兄ちゃんの名前って」

「唯織、だけど」

その名前を聞いた瞬間、止まらなくなった。

「え、佐那?大丈夫??」

「唯織…」

流れる涙もそのままにまだ光っている手元のスマホに目線を移す。