消えそうな君に夜を捧ぐ

そんな佐那が日々笑顔が増えて楽しそうにしているのを見るのが嬉しくて仕方ない。

俺が居なくなったら、またあんな顔をさせてしまうんだろうか。

『笑っていてほしいな…』

翌日、俺は初めて歩道橋に行けなかった。

一度行かないと戻りにくい。

俺には時間がない。

残り少ない時間を無駄にしている自覚はあるのに、いざ夜11時が近づくとなんとなく躊躇ってしまう。

俺を見ると少し緩む頬が、下がる目尻が、愛しいのに。

自惚れかもしれないけど、それを奪ってしまうのも自分であると思うと、どうしようもなく怖い。


気がついたら歩道橋に行かなくなってから5日も経っていた。

リミットまであと1週間。