消えそうな君に夜を捧ぐ

「佐那!おつかれー遅かったね」

いつの間にか歩道橋に着いていた。

さっきまでずっと考えていた相手は目の前で笑顔で手を振っている。

遅くなっても嫌な顔せず立っているその姿は昨日のことなんて感じられないくらい普通で。

それを見たら、胸の内があふれ出しそうになって。

今のもやもやも何もかもすべて吐き出してしまいたくなって。

…でも、もし本当にそうしてしまったら?

きっともう、今までのように唯織とはいられないだろう。

「っごめん!今日は用事があって帰らなきゃいけなくて、それ伝えに来ただけだから、じゃあ!」

私は唯織の返事を待たずに来た道を走り出した。

「あ、待って…」