消えそうな君に夜を捧ぐ

「…って佐那聞いてる?」

「あっえっとごめんなんだっけ」

「もう、今週の日曜、3人で遊ばない?って話してたんだけど、カラオケとかスイーツ巡りとか」

「うん、行きたい!また塾に話しておくね」

昨日の出来事がまだ頭から離れなくて授業もどこか入ってこないまま、昼休みまで過ごしてしまった。

せっかく誘ってくれていたのに上の空になっていて二人に申し訳ない。

「ねえ、なんかあった?」

麻央は私に向きなおる。

「あ、えーっと」

昨日の話、あれは人に相談するものなのか。

無意識に唇に指が触れたのに気が付いて慌てて手を下す。

「…ううん、何もないよ。昨日ちょっと遅くまで起きてたから眠くて」