恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

『おめでとう。採用だよ。』

「……うそ………ほんと……に?」

『ん‥‥まるで今の俺達ようだった。』


綺麗な指が私の目から溢れていた涙を
優しく拭ってくれる。


『‥…俺もずっと会いたかった。』


その言葉に大好きな胸に飛び込んだ私を
瀬木さんは強く抱き締めてくれた。


物語の結末はまだ知らないけれど、2人が私達のように会えていることを願う


瀬木さんに唇を塞がれ、会えなかった時間を埋めるかのように何度もキスを
交わした。



『お疲れ!!』
『‥‥もう帰れよ。』


仕事がようやく終わり、今日は飲みすぎないと約束した2人とお酒を飲みながら過ごす夜。


和木さんたちは明日の朝一で東京に戻り
そのままお仕事に直行らしい。


『日和ちゃんの名前も入れるんだろ?』


えっ?

『そうよね?私は載せたいけど……
 先生はどうされます?』


ニヤニヤと頬を赤らめて話す2人は、
やっぱり程よく酔っていて明日帰れるのかと心配になる。
今から仲さんに薬貰っておく?



『‥任せる。』


えっ?


ほろ酔いなのか眠いのか分からない
瀬木さんの瞳を見ていたら、テーブルの下で指をからめとられた。


「いいの?」


『うん‥…和木。矢野って載せて。
 弓矢の矢に野原の野。』

『何だよ?矢野って。』

『いいからそう入れとけ、万年営業。』



瀬木さんは絶対分かってる。
あの言葉を選んだのが矢野日和だと。


あのときの自分が大嫌いだったのに、
今はほんの少しだけ好きになれる


勇気を振り絞りからめられた手を握り返せば耳元に寄せられた唇が何かを伝えて
きた。



『隼人、おい!矢野って何だよ!?
 あ!!イチャイチャすんな!!』

『先生!!教えてくださいよ!?』

『はっ、教えるか。さっさと帰れ!!』



私の夏休みは沢山泣いて楽しく笑えた人生で一番沢山学べた最高の時間だった。



『おやすみぃ‥』
「おやすみなさい。」

朝が早いから今日は早めに寝ると2階へ行ってしまった2人に挨拶を済ませて
後片付けをすると、テラスに瀬木さんを
見つけた。


「瀬木さん?」

『‥‥立花、おいで‥ほら。』

「わぁ………」


2人で見上げた空に偶然なのか満月が
輝き、あの写真のように白樺の間から
美しい光をここに届けてくれている


(今日は一緒に眠ろう。さっきみたいに
 今度は離さないから。)


さっきそう言われた言葉を思い出し
顔が熱くなったけど、暗闇と月の光が今は隠してくれる。


先輩の事がもっと知りたい‥‥。
離れていた6年もこれからもずっと。