恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

お兄ちゃんは、確か本が好きな私には
ちょうどいいバイトって言ってた気がするけど彼とどういう関係なの?


どこをぐるりと見渡しても、モデルルーム並みの綺麗な部屋には本棚すらない。


『はい‥熱いから気を付けて。』


ガラスのテーブルにコツンと音をたてて置かれた真っ白なマグカップ。
それよりも、それに添えられた長くて綺麗な指に目がいく私は昔と何も変わってない‥‥。


「‥あの‥‥ありがとうございます。」


『…………ん。』

「…………」


えっと‥‥なんだろう‥‥。コーヒーを優雅に飲みに来た訳じゃないんだけど‥


「あ、あの……聞いてもいいですか?」


コーヒーに向けられていた視線が
ゆっくりと私に向けられるだけで、
私は馬鹿みたいにビビってしまう


『‥なに?』


透き通るような瞳はとても綺麗で、
私は思わず俯く。‥‥この瞳をとても
よく知っているから‥‥。


「…えっと……あの‥私は
 どんな仕事をすればいいですか?」


この人のことを知らないふりをして
どこまでやれるのかわからないし、割りのいい仕事っていっても内容が
分からないと不安だ。


台所でコーヒーを淹れる感じを見ると
ここは住居みたいだし、仕事場という
感じには思えない‥‥。


『‥‥家事全般。』


えっ!?


『それに買い出しとかおつかい
 とか色々かな‥‥。』


はっ!?
ち、ちょっと待って……?さらっと何を
言ってるの!?
それって簡単に言えば家政婦じゃん!


『あとは……‥‥‥
 俺の執筆のアシスタント‥。』


えっ?