恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

うわっ!!す、凄い……。ホテルでもないのに床が全面絨毯なんて初めて見た
しすごいふかふか‥‥
 
ほんとに凄いとこに来てしまったのかもしれないなと思うと不安が一層増す。

到着した立派なエレベーターに乗り、
指定された十五階に到着した私は、教えられた部屋番号を探した


どうしよう‥‥部屋の前に着いたのはいいけど、今になって緊張してきた。


何だかんだで言われるまま来たけど、本というキーワード意外実際なんの仕事
かもよく分かっていないからだ。


お兄ちゃんの紹介だし妹にやらせる
バイトだから信用はしてるけど、ほんとに変な仕事だったらどうしよう‥‥‥
と、とりあえず逃げる?


ガチャ


「!!」

『‥‥いい加減入ったら?』

えっ!?


先程聞いた声よりもっと低い声がダイレクトに伝わり、驚いた私は瞳を開けて目の前を見た



ん?あれ…………?ちょっと待って……
この人何処かで…………‥‥‥‥‥
ツッッ!!う、嘘でしょ!?


たかだか二十年という人生でこんな出会いが二度も起こるなんて思えないのに、
胸の中がどうしようもない苦い思い出に覆われていく


口の前を震える手で覆ってしまうのは
あり得ないという驚きによる声を抑えるためだが、扉にもたれてこちらを見つめる瞳に心臓がどうしようもなく騒ぐ


告白もしないまま終わった身勝手な片思いだったから、それだけなら相手には迷惑かけてない。


それなのに、私が心から向き合えないのには別の理由があるからだ。


見間違えるわけない‥‥‥。
目の前で腕を組み見下ろす綺麗な顔立ちを忘れるわけなんてなかった‥‥。


逃げないと‥‥‥‥
このままだとダメだ‥‥‥