恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

肌寒さにゆっくりと目を開けると
あたりが思いの外暗くて驚いた


しまった…あのまま寝ちゃったんだ‥


ん？これって‥‥
瀬木さんのタバコの香り？


肌触りのいいブランケットを
抱きしめると瀬木さんを近くに感じ、
もう一度瞳を閉じた。



『寒くない？』


ﾄﾞｷｯ


こんなにもギュッと抱きしめてるところを見られてないかと慌ててソファから
起き上がると、乱れてるであろう髪を
手で整えていく


「す、すいません‥ご飯の仕度を
　しないとですね。それにお風呂も
　まだ……。」

『ご飯は昼の分を食べたからいいよ。
　立花は何か食べるといい。』


「あ‥そうなんですねッ‥。
　お風呂だけすぐ入れますから。
　それと‥これもすみません。
　かけてくださったんですね。」


瀬木さん‥いつからここに居たの？
こっちで仕事をしてるのなんて
初めて見た‥‥‥



「あの……」

『ん？』

「怒ってますよね……
　勝手に原稿を読んだりなんかして。
　ずっと読んで見たくて‥‥
　その‥‥‥‥すみませんでした。」


編集の人の仕事内容にも勿論興味は
あったけれど、あの時はただただ先輩の世界を見たかったのだ。


『どうして謝るの？』


パソコンのキーから手を離した瀬木さんは、眼鏡を外しそれをテーブルに置いた


『フッ‥‥読みたいなら部屋に来れば
　いいだろ？』


えっ？

ﾄﾞｸﾝ


暗闇の中で隣に座る瀬木さんに先程と同じように手首を掴まれてしまう。


ど‥どうしよう……。そこだけが熱を帯びてゆき心臓の音が手を通して伝わってしまいそうだ