恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

『‥‥‥‥なっ!?‥えっ?女!?』


突然現れた私を見てソファーに座る見知らぬ2人が立ち上がり驚いて声を出した


いきなり大声を出されて驚くのはこっちなんだけど?


カチャ


「あ…瀬木さん…戻りました。」


『ん‥‥おかえり。』


ちょうど仕事部屋から出てきた瀬木さんに、早速頼まれていたものを差し出した



『ありがとう。そこに置いといて。』


言われた場所にそれを置けば、キッチンに置かれたままのオムライスが朝から動かぬままの状態で目に入った


また食べずに仕事してたんだ……。
寝てないし食べてないしで体は大丈夫なの?


『ちょっと瀬木先生!!こんな可愛い
 子を今までどこに隠してたんだ?』


奥に座っていた知らない男性が瀬木さんと私を交互に見てニヤリと笑っている。


『うるせぇ……喚くな。
 黙ってさっさとチェックしろ。』


うわ‥ぁ‥‥機嫌悪‥‥。
ここまで先輩が言葉使いが悪いのは
初めて見たかもしれない。


それに特に今日はいつもより
機嫌が悪い気がするのは気のせい?


私の横にきた瀬木さんに珈琲を淹れてあげたら、眠そうにそれを受け取った。


「あの……すいません。
 瀬木さんのお友達ですか?」


一人はスーツをピシッと着こなした
カッコイイ大人な男性で、もう一人は
とっても綺麗な女の人だ



『は?友達?‥‥あれは出版社の犬。』


へっ?‥い‥犬?


『隼人‥それはないだろ!?もうお前
 の作品取り扱かうのやめるぞ?』


『はっ、好きにすればいい。
 そこでは連載を書かないまでだ。』


『ちょっと和木君やめてよ!
 締め切りが押してるのにあたしが
 クビになるんだから!!クビ!!』


キッチンとソファという距離で
大声で飛び交う罵声に、子供の喧嘩の
ようで呆気にとられる。



『立花‥これ今から食べるから。』

「えっ?じゃあ……温め」

『いや、いいよ。冷めてても美味し
 そうだから。‥いつも悪いな。』


珈琲とラップのかけられた冷めたオムライスをトレイに乗せると、また仕事部屋へと行ってしまった彼を見送る



「あっ!瀬木さん!
 あのこれはどうするんですか?」


ドアに入ってしまう直前で、掲げた
おつかいの紙袋に、振り返った瀬木さんが少しだけ笑った。



『立花が食べていいよ。』


えっ?