恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

『はい、どうぞ。』


『先生……?』

『隼人……どういうことだ?』


『立花に読んでもらった後なら
 出版でもなんでもしろ……。』


私の頭に優しい手を触れさせた瀬木さんは、高城さんたちにそう言うと、2人は
瀬木さんに駆け寄った。


金と銀の刺繍で描かれた題名をそっと指でなぞり胸の中にその本を抱き抱える


奥では物凄く嬉しそうな2人と
瀬木さんが何かギャーギャー言い合っていたけど、少しだけ元気になった瀬木さんを見てホッとした。


『‥‥無理して遅くまで読んだら
 駄目だからね。寝不足でリハビリ中
 怪我でもしたら危ないから。』

「はい。瀬木さんもちゃんと寝てね?
 あと珈琲を飲みすぎなので、
 今日はもう飲んじゃ駄目だよ?」


『ん‥‥おやすみ。また明日。』

「おやすなさい‥‥」


なんとなく離れるのが寂したと思うも、
笑顔で手を振り見送ると、早く読みたくて急いで歯磨きをしてベッドに座った。

「(瀬木 遥)」


瀬木さんの本とわかるだけで、
他の本よりも何故か愛しさが溢れ、
名前が彫られた部分を指でなぞったあと
私はゆっくりと本を開くとそのページを
見ただけで息が止まりそうになった。


ズキッ!!


……なに?‥‥‥‥これ‥


表紙を開いたそこにあった一面の写真を
見ると、頭を鈍器で殴られたような感覚になり、沢山の白い木が満月に照らされて森に美しい影をいくつも落としている景色が頭の中に入り込む。


心臓の音が耳に届くほど鳴り、
頭が割れそうで耳まで痛くなってきた


「はぁ……はぁッ」


呼吸を落ち着かせようとゆっくりと深呼吸をしていると、写真の下に書かれている言葉を見つけてまた苦しさが増した


今までと全然‥違う……。

激しい耳鳴りと頭を殴られ続けるような痛みに思わず吐きそうな感覚だ


届きそうで届かない‥‥。
いつの日か二つの影が重なりあう日が
訪れるなら辛抱強くあなたを待つでしょう?

「………知ってる………
 私‥これを…知ってる……なんで?」


震える手から本が滑り落ち、巻末にあるもう一枚の写真が見えた途端私をもっと苦しめた


この景色………この感じ…………
駄目だ‥‥‥頭が痛い‥‥‥


胸が一気に苦しくなり、震える手で私はナースコールのボタンを押した


………‥‥‥‥‥‥先‥‥輩