恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで


そうだ……お兄ちゃんに沢山本を今度持ってきてもらえるように頼んで見よう。
本を読むのが好きだったことだけは覚えてる


『左手しか使えないから、フォークと
 スプーンを用意しますね。』

「…はい…ありがとうございます」



正直‥‥食欲なんて湧かない‥‥。
食べて力をつけないと骨が折れてるし
治らないから食べるしかないのは
分かってるんだけど‥‥。


真っ白なこの病室にいるとあの夢のようにこの世界から抜け出せなくなりそうで
怖くなる‥‥。


コンコン


『日和。入るぞ。』

お母さんは仕事がある為一旦帰った。
お兄ちゃんも大学が忙しいのに、毎日
こうして来てくれる。


『傷はどうだ?派手に骨折してるから
 早く治してリハビリしないとな?』

「うん……頑張る。あのね…」


パイプ椅子に座ったお兄ちゃんが
暑かったのかハンカチで汗を拭う姿に、
季節や日にちの感覚も忘れてると
感じてしまった。


『どうした?』

「‥うん‥暇だから本が読みたい。」

『…ハハッ…退屈だよな‥‥‥。
 明日沢山持ってくるよ。』

「あと……自分の事を知ってる人に
 少しずつ会ってみたい。勉強も
 やらないと駄目だと思うし。」


数日考えて、このまま塞ぎ込んでても
何も変わらない気がした。何も始まらないなら自分で始めるしかないって‥。

何か思い出すかもしれないし、誰かと話したら記憶が戻るかもしれない。
怖いけど……それをしないとずっと
後悔する気がしたのだ。


『分かった。先生とも相談してみるよ』

「ありがとう‥。」