恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

お母さんの言葉も上手く頭に入って来ず
頭が追いつかない‥‥

『お名前は立花 日和さんですか?』

「……ちが……あ………」


どうしよう………さっきは違うと思ったのに……今度は何も出てこない。
頭の中が真っ白で空っぽのような感覚に体が震える


『日和!!お前ふざけてんのか!?』

「でも………分かんな……あ……
 分かんな……いの。
 たちばなって‥‥知らな‥‥い」


お兄ちゃんの叫び声が聞こえるのに
何にも言葉が出てこない。話したいのに声が上手く出ない‥‥。



「‥‥イヤ‥‥はぁはぁ‥」

『落ち着いて下さい!立花さん?
 立花さん!!』


呼吸が苦しくなり、酸素マスクが装着されるも、私は意識をまた失った。



『36.5℃。熱はなさそうね。
 朝食を持って来ますね。』


あの日から数十経ち、自分の家族は
分かるものの他は全く分からないままだ


落ち着くまで誰とも会えないように
個室の病室を選んでくれたお兄ちゃんには感謝をしてる‥。


たちばな ひより…‥‥やっぱりこれが私の名前なんだ‥。




『………記憶喪失‥です‥か?』


記憶喪失なんて疑いたくもなるけれど、
実際に名前すら思い出せない自分だ。
そう言われても仕方がない。

両親は離婚をして今は母は北海道に住んでいて、私は都内の大学に通うため
今は一人暮らしをしている。


お兄ちゃんは私が通う大学の文学部の
文芸講師だと昨日落ち着いた私に
教えてくれた。


話をしていて生まれた頃から15歳くらいまでの記憶は何となく思い出せた。
でもその後から今までのの記憶が
完全に思い出せない‥。


記憶が戻るか戻らないかは現段階では分からなくて、階段から落ちたときの衝撃が強かったから様子を見るしかないらしいのだ


受け入れたくても受け入れられない状況がいつまで続くのだろう‥‥。

私が忘れてしまったことを誰か教えてくれるならそれでもいいから
この寂しさから連れ出してほしい