***
「じゃあ、私から言うね……柊くん……」
「あ、待って?」
柊くんは、柊くんの鞄の中をあさると、小さな箱を出す。
「これ、使い道なかったから、今使う?」
「持ってきたんだ。なんで?」
「せっかく一緒に時間をかけて選んだのに、これどうしようかなって思って、今日伊織に聞こうかな?って……」
白いリングケースに入ったお揃いの、サイズが違うふたつの指輪を見つめた。銀の指輪は、箱の中で仲良く寄り添っていた。
「柊くん、それ、今、使おっか」
もう一度仕切り直し、向かい合わせになる。
「柊くん、柊くんは私を十年間愛してくれていたことを誓いますか?」
「はい、誓います。伊織は、十年間、僕を愛していましたか?」
「……はい」
「ちょっと間があった?」
「ないよ! ずっと大好きでした」
全部過去形の言葉。過去に愛をしまいこもうとしている言葉を形にするたびに切なくなる。
「じゃあ、私から言うね……柊くん……」
「あ、待って?」
柊くんは、柊くんの鞄の中をあさると、小さな箱を出す。
「これ、使い道なかったから、今使う?」
「持ってきたんだ。なんで?」
「せっかく一緒に時間をかけて選んだのに、これどうしようかなって思って、今日伊織に聞こうかな?って……」
白いリングケースに入ったお揃いの、サイズが違うふたつの指輪を見つめた。銀の指輪は、箱の中で仲良く寄り添っていた。
「柊くん、それ、今、使おっか」
もう一度仕切り直し、向かい合わせになる。
「柊くん、柊くんは私を十年間愛してくれていたことを誓いますか?」
「はい、誓います。伊織は、十年間、僕を愛していましたか?」
「……はい」
「ちょっと間があった?」
「ないよ! ずっと大好きでした」
全部過去形の言葉。過去に愛をしまいこもうとしている言葉を形にするたびに切なくなる。



