そんな真木を見て私は途方に暮れる。
辺りはもう既に暗く、田んぼから虫や蛙の鳴き声、民家の明かりがチラチラ見える。私たちの目の前をバスが通り過ぎる。
時計を見る。
20時前。
「え!?」
「どうした松本」
「い、今20時になるんだけど!」
私は慌てて真木の手を引っ張り、バス停まで連れて行く。バスの時刻表を指差す。
「バス…さっきので最後」
「ええぇ!?」
真木が硬直する。
すると突然の突風。
真木が持っていた住所の紙切れが飛ばされる。
「!!?」
「あ!!個人情報が!!」
「何してんの!!」
「松本どうしよう!!」
「知らないわよ!もう!」
私は余計に途方に暮れ、バス停のベンチに力無く腰掛ける。
真木もその横に腰掛ける。
「ねぇねぇ」
「何よ」
「途方に暮れるってこういうこと言うんだね」
私は「そうだねー」と適当な返事をし、大きな溜め息を吐く。
「真木君。とりあえず、大通りまで歩こう。それでタクシー拾おう。街中行けばまだ交通機関はいくらかあるから」
「んー…ごめん」
「もう慣れたよ」
「よし!じゃシズル宅探しは後日!」
と、真木が立ち上がったと同時に視界にトラクターが入り込んだ。
大きな音を立てて近付いて来る。
