甘い仮面に騙されない!


………も、 もしかして……?


一瞬にして心臓がばくんっと跳ね上がる。


あの男……! また……!



幸いにもリビングに人影はなく、 息を潜めるようにして部屋の隅へと身を寄せた。


ありえない。 ありえない。 ありえない。


なんであいつのせいで、 毎日こんなに神経すり減らさなきゃいけないの……!


さっきのお昼休みのこともあるし、 小宮山 錬への憤りがどんどんどんどん膨れ上がっていく。





───2階からくぐもった声が降ってきたのは、 しばらくしてからのこと。


身を潜めたまま、 不覚にもうとうとしてしまっていた私を、 甘い声が現実へと引きずりもどした。


言葉の輪郭はぼやけているのに、 それがどういう類いのものなのか瞬時に理解できてしまって、

頭から足の先まで、 全身がじわり熱を帯びていく。