碧い夏の約束

早朝、俺たちは電車に乗って約束の海へと出かけた。

凛月「今から行く海って、そんなに思い出のある場所なのか?」

結華「さあね、私にはわからない。確かに何回か2人で海に行ってたけど…。」

凛月「そうなのか…。」

瞬「でも、何かしら思入れがあるんだろうな。そこを約束の地にするほど。」

凛月「あぁ、それは間違いないと思う。」

数時間かけてようやく海へ到着した。

凛月「静かだな…。」

瞬「まぁ、まだ朝だしな。」

結華「でも、朝日に照らされて綺麗ね。」

俺たちがそんな会話をしていると、どこからか音が聞こえた。

“ザシュッ”

瞬「ん?今音しなかったか?」

凛月「あぁ、そうだな。」

音の音源を探すべく、俺たちは歩き出した。すると、今度は声が聞こえた。

?「…め…。うっ、うぅ…。」

結華「泣いてる?」

凛月「手分けして探さないか?」

瞬「そうだな。見つけ次第連絡してくれ。」

結華・凛月「わかった!」

しかし、声の主は一向に見つからなかった。

凛月「見つからないな…。」

結華「そうね…。」

探すこと1時間、全く人の気配がない。

凛月「もしかして逆方面か?」

結華「あり得るかもね。一旦瞬と合流しない?」

凛月「あぁ、そうしよう。」

海は広いから、片方を探すのにもかなりの時間を要する。俺たちは一度瞬と合流することにした。

《瞬side》

正直、声を聞いた瞬間嫌な予感がした。聞き覚えのある声だった。俺はすぐに声の主を見つけ出すことができた。

瞬「やっぱりお前だったんだな、遥翔。」

遥翔「はぁ…、はぁ、瞬?」

瞬「遥翔、何でここにいるんだ?そして、いつからいた?」

なぜ俺がこんなことを聞いたのか。それは遥翔が最近学校に来ていなかったからだ。海へ行こうと提案したのも、凛月のためもあるが、半分は遥翔がいるかもしれなかったからだ。

遥翔「もう、無理なのか…?お前が俺を見逃すことは…。」

瞬「あぁ、もう無理だ。何度もお前の下手な嘘を見逃したが、そんな状態を見て見逃す気はない。洗いざらい吐いてもらうぞ?」

遥翔はだいぶ痩せたように思う。それに顔色も悪い。十分な睡眠と食事を摂っていない証拠だ。

遥翔「駄目だ。絶対に言えない、いや言わない!俺は、友達であり恩人でもあるお前を巻き込みたくない!」

瞬「もしかして、頑なに口を割らなかったのは、俺を巻き込まないためってことか?」

遥翔「そうだ!瞬は俺が初めて本音や弱音を吐ける存在だ。何度もお前に救われた。だから今回の件は何があっても話す気はない!」

遥翔は話しながら、目に涙をためていた。しかし、次の遥翔の言葉を引き金に冷静さを保っていた糸は切れた。

遥翔「これは俺1人で乗り越えなくちゃいけないんだ。だから、もう放っておいてくれ!!」

プツン。

瞬「ふざけんなよお前…。」

遥翔「瞬…?」

俺が思いっきり睨みつけると、遥翔は肩を震わせた。

瞬「さっきから聞いてりゃわけわかんねぇことばっかり言いやがって!巻き込みたくないだと?今更なんだよ!お前の過去を知った時点で、俺は巻き込まれてんだよ!俺が勝手に首突っ込んだんだ、何が起こっても覚悟の上だっつの!」

遥翔「瞬…。でも、今回のはそういう問題じゃなくて。」

瞬「それに、お前1人で解決できる問題ならこんなに心配してねぇよ…。ちょっとは頼れよ馬鹿が。」

遥翔「う、うぅ…。瞬、いいのか?お前に頼っても、甘えても…。」

瞬「馬鹿野郎…。むしろ、もっと頼れ、甘えろよ。」

俺がそう言うと、遥翔はその場に泣き崩れた。そしてようやく口を割った。