おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~

「……は?」

 ティアさんは私の顔を見ながら、ものすごく面倒くさそうな表情を浮かべました。
 私は酷い! と言ってしまいそうなのを、ぐっと堪えながら改めて伺います。

「カルアさんと、モランゴさんです! 双子で、赤い髪の毛……の」
「それって、俺達のこと?」
「ひゃあっ!」

 それは突然でした。耳元でカルアさんの声がしたと思えば、勢いよく後ろから抱きつかれたのです。
 私はびっくり仰天してしまいました。

「……貴方達はいつも突然ですね」

 ティアさんは、テーブルに載っているであろうクッキーに手を伸ばしながら呟きました。

「…………」

 しかし、自身の分であるクッキーが無くなっていることに気づいたのか、ひとつ、コホンと咳払いをして隣のシェルディさんをじっと見つめます。
 シェルディさんは、

「――ぉ、おぉっ、丁度いいところに来たな! 二人共俺達の友達だぞ」

 と、焦りながらティアさんとお皿から目を逸らして言いました。

「お知り合い……?」
「そそ、知り合い」

 離れる気配のないカルアさんは私をぎゅうっとしながらも、少し奥に立っているモランゴさんに「ねー」と、笑顔を向けました。
 モランゴさんも微笑み返してくれて、なんだか微笑ましいといった感情です。
 ところで、男の子の力って強いんですね。

「ぎ、ギブアップです……」

 カルアさんの腕をぽんぽん、と軽く叩きながら脱出を試みます。
 すると、謝りながらぱっと離れてくれたものですから、カルアさんは勢いがあるだけで、とても優しいなと感じました。

「私の知る方々、皆さん既に顔馴染みでしたか」
「うん、ティアとは今のよりもっと豪華なお茶会を開いたりもするよ」

 モランゴさんは答えます。
 初対面の分際で失礼なのは承知ですが、ティアさんって関わり辛そうなイメージが出来ているというか、なんと言いますか。
 でも、案外そうでもないのでしょうか。仲良しさんともなれば、初対面の印象とも違いますし。

「次開く時は是非、私も参加させて下さい」