おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~

 イバラさんの落ち着いた態度とは反対に、ブロンド髪の青年は困惑を見せました。

「ティア、どうせ他に行くところなどこの街には無いよ。小さな街だから」
「それは、そうですけど……」
「お、なら決まりだな! よかったなぁマリア!」

 いつの間にか、イバラさんの隣に腰を下ろし、おやつまで頂きながらシェルディさんは嬉しそうに言いました。

「また勝手に……」

 ティア、と呼ばれたブロンド髪の青年は、シェルディさんにおやつを分けながら、はぁ、とため息をつきました。

(……ちゃんと分けてあげるんだ)

 そう思ったのは秘密です。

「――そうだ、自己紹介がまだだった。オレはイバラ。この屋敷の……、なんて言うのか。両親が不在がちだから、代表の代わりを時々やっている。子息、ではあるからな」
「私はティアトレーネ。イバラの従者をしています」
「てことなんで、よろしく頼む」

 イバラさん、お若いのにしっかりしています。
 それにしても夢の割には、設定が細かいような。

「あぁっ!」
「なんですか突然」

 理由を説明する際にカットしていた事がありました。

「カルアさんとモランゴさんはご存知ですか!?」