おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~

 おばさんの言葉に、血の気が引くのがわかりました。
 私は「それは、本能から……ですか?」と訪ねます。

「そうだね、あれは(まさ)しく本能だろうね。しかも、狼族だったよ。お嬢さんが庇った青年と同じだろう?」

 ――元々は人間と獣人族はいわゆる貿易関係にあったそうです。
 街中は、両方の種族が当たり前のように会話を交わし、活気に溢れていました。

 しかし、ある日それは起きました。

 獣人族との貿易関係は破棄され、関わりを持たなくなりましたが、獣人族は不平不満を漏らしました。

「そりゃそうなるわよね。獣人族は肉食じゃない良心的な種族も沢山いるんだから」
「だから……怒ってしまったんですか? 獣人族の皆さんが」
「……そういうことさ」

 処されるべきは狼族のそいつだけでいい、肉食だけを管理すれば問題ないだろう。そう向こうは訴えました。
 何故そこまでしたかと言うと、彼らは貿易が一番の稼ぎだったからです。
 勿論、この街の人達も似たようなものだとは思いますが……。

「……だけどね、あたし達も皆怖くなっちゃったんだよ。この街だけじゃない。周辺の国に住む人間達皆、その噂を聞いて『獣人族=危険』という認識になっちまったんだ」

 だからでしょうか。獣人族と貿易関係を結んでいた他の国達も、どんどん辞めていきました。