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 お城に着くや否や、私達は地下牢へと向かっていました。
 この世界のお城にも、しっかり地下牢は存在するみたいです。

「……ティアさん」
「静かに」
「…………」

 前を歩くシェルディさんの背中を見ると、ぼろぼろで悲しそうに見えます。
 大切だと言っていた赤いマントは汚れ、少しだけ破れてしまっていました。

「私達、何も悪いことしていません」

 静かに、と言われてしまいましたが、耐えられずに呟きます。

「……知ってますよ」
「え?」

 ティアさんは観念したように小声で言いました。

「だから、知ってますよ。第一、私達がシェルディさんの耳を知らないと思いますか?」
「じ、じゃあ……何故このような」

 合わせるように、小さな声で聞きます。

「手っ取り早く逃がす為ですよ」
「逃がす為……?」
「あの人混みの中からシェルディさんを出すならそれが一番でしょう。あの場で助ければ私達も反逆者になり面倒臭いことになります。……反逆者になるには段取りが必要なんですよ」

 ティアさんは言いました。