言われた通りの道を進んで行くと、小さな小屋が建っていました。

「どうした。雑草か? 全く、嫌だよなぁ。今取ってやるからな。――よしよし、綺麗になった」

 小屋の前では赤いフードを被った青年が一人、花に水を注ぎながら、話しかけているのが見えます。
 やっぱりそうです。ここはおとぎ話です。
 だって彼の被っている赤いフードは間違いなく、【赤ずきん】ですから。
 ――ところで、話しかけてもよいのでしょうか。
 そう思っていると、赤いフードの青年はこちらに気づき、首を傾げました。

「お前、誰だ……?」
「あ、えぇと……マリアです。すみません、突然お邪魔してしまって。こちらにシェルディさんがいらっしゃると伺ったものですから」
「シェルディはオレだが……ん? まさか、シラユキにでも会ったのか?」

 そのまさかなのです。
 事情を説明し、私はシェルディさんにお城へ行きたいと伝えます。

「いいぞ! オレが連れてってやる」

 シェルディさんは快く承諾して下さいました。
 そして、ここでも摩訶不思議な事情は、すぐに納得して頂けたのです。当たり前に起きること、なのでしょうか。

(いえ、ここが私の夢だから……?)

 考えても仕方ありません。
 とにかく私達は、お城へ向かいます。