おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~

 彼の長い長い髪の毛は、どのようにして結われているのでしょう。メイドさん、でしょうか。
 お一人でやるにはかなりの長さですが……。

「よし、じゃあマリア。オレの手握って」
「え、まさか飛び降りるとかないですよね」

 私はカルアさんに恐る恐る手を伸ばしながら聞きました。

「そのまさか、かもね」

 そう言ってカルアさんは、私を横に抱きかかえると、

「そーれっ!」
「ちょ、心の準備がっ――きゃぁあっ!」

 ぴょんっと柵を乗り越えて飛び降りました。
 以前も言いましたがもう一度言います。
 ここは三階です。

「――はい、地面」
「あ、あひぇ~……」

 心臓が早鐘を打っています。
 ドキドキではありません。ドドドドドッと爆音で鳴っています。
 ですがよかったです。今回はカルアさんが抱きかかえて下さっていたおかげで、無事です。
 この世界に来た時は木の上に落ちましたから、えぇ、この作品のヒロインとしてそんなことがあって良いのでしょうか。

「森へレッツらゴー!」
「いちにのさんって言ったの誰ですか! ていうか、降ろしてー!」

 カルアさんは楽しそうに全力疾走です。
 振り落とされないようにしがみつく私は、さながら誘拐された人みたいです。

「ねぇマリア。何が食べたい?」
「えぇ、このタイミングで聞くんですか……?」
「丁度よくない? パチンッて出してあげるよ。……モランゴが」
「モランゴさんなんですね」

 カルアさんは一体何ができるのでしょうか。飛び降りくらいしかわかりません。

「オレもできる事あるし! 多分!」
「もう、心の声読まないで下さいっ」