おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~

「人魚の力ってね、凄いんだよ」

 あはは、と笑いながらセインさんはどんどん奥へと進んで行きます。
 私はそれに合わせて足を動かして、足を引っ張らないようにしながら、辺りを見回します。

「海って、やっぱり綺麗ですね」
「ふふ、ね。僕もそう思う」

 あっという間に海面が遠くになってしまいました。見上げると、きらきらと太陽に反射しているのが見えます。
 魚達は私達を見ながらなんだなんだと群がって来ます。

「こんにちは、カクレクマノミさん」
「客人かい?」
「そうなの」
「楽しんでくれよ嬢ちゃん」

 セインさんは慣れた口調で目の前のカクレクマノミさん? と会話をします。
 カクレクマノミさんは見た目の可愛らしさに反し、ダンディなお声です。

「ありがとうございます。カクレクマノミさんもお気をつけて」

 私はぺこりとお辞儀をして、手を振ってその場を後にしました。

「魚達も話せるんですね」
「人魚の力でね」
「へぇ、これも……」

 人魚って、凄い。
 素直な感想です。

「ね、もうすぐ僕の秘密基地に着くよ」
「秘密基地、ですか……?」 
「うん。宝物が沢山置いてあるの」

 セインさんはヒレを動かす速度を速めると、秘密基地まで一気に泳ぎ切りました。
 とある岩と岩の隙間から更に下へ向かうと、砂地では無くひとつの空間が広がっていました。