触れたい、cross

「…やっぱ、いいやー」


はい、海乃さんもー。


ひとくち大に割られたチョコレートが、くちびるを割って、入ってくる。


洗い物、オレがするねー。


誤魔化すように言って、洗い物を片付けてゆく伊織くん。


気になってはいても、なぜだか真っ直ぐに聞くことは出来そうもなくて。


口の中のチョコレートが溶けてゆく感覚を味わいながら、ちらちらとその姿を横目で眺めて、残りの料理に取りかかる。


チキン南蛮に、チャーハンとインスタントのスープ。


出来上がったメニューを、テーブルに並べた。


「チキン南蛮なのに、チャーハンもついてるの?さいっこーなんですけどー」


なんて、天をあおぐしぐさは、なん回目だろうか。


伊織くんのしぐさはいちいち、胸に、くる。