目を瞑れば未だに瞼の裏に映る記憶がある。

それは幸せな思い出だったり、悲しい思い出だったり。

私がローラとして存在していた、大好きなルシュドでの思い出。


「…何を笑っている?」


暗闇の中、窓から差し込む月の光だけがギルのその綺麗な顔を目に映す。

お互い生まれたままの姿で大きなベッドの上、2人きり。

キングサイズのベッドは今の私たちには広すぎたみたい。

隙間ないくらいにお互いの体を抱き締めて、眠る。

だって私たちは2人ぼっちだ。

互いの身体だけが、唯一の温もり。