昔々、まだ国はなく、王もなく、ただたくさんの部族だけが存在していた時のこと。
部族同士の争いは絶えることはなく、ただお互いに、お互いの強さを認めさせようと必死だった時のこと。
――邑を一つの大きな連盟体にしよう。
それは誰の言葉であったか、定かではない。
ただ、それがこの広い土地に大きな転機を迎えさせた重要な言葉であったのは確か。
邑たちの長は話し合った。
誰がこの邑を束ねる盟主として、国王として適切か。
……いや、有益か。
――そしてここに史上初の国王が誕生する。
邑の長、大公たちの指名により、シルフィード国の王が。
戴冠式。
大公たちは跪きで王に忠誠を誓う。
――自らの益のために。
