傾国の貴妃

「ご機嫌よう、ルシュドの姫君様」


見つめあう私たちをまるで遮るかのようにエリザベート様の声が長い廊下に響く。

その手は自然とギルの腕にと触れていた。

それを払うでもなくただ不機嫌そうな顔を崩さないギル。

エリザベート様はそんなギルに微笑みを浮かべながら寄り添っている。

絵になる二人。

その光景に胸がチクリと痛んだけれど、結局のところ私にそれを咎められる力なんてあるわけがなくて。

私の居場所はギルの隣だけ。

その強い想いさえも崩れてしまいそうで。

私の居場所なんて結局のところどこにもなかったんじゃないかと思わずにはいられなかった。