傾国の貴妃

世界が2人だけだったら良いのにね。

私とギルの2人だけ。

当然、身分だとか世間体だとかしがらみなんかだとかは何もなくて。

2人だけなの。

叶うはずのない夢。

でも、願わずにはいられない。

ねぇ、そう思わない?




そう言った私にギルは小さく笑ってキスをくれた。

もう一度、とせがむ私にさらに甘いキスをくれる。

何度も何度も、優しく。

ギルは優しい。

大好きなギル。

それだけを支えに生きて行こうと。

生きていかなければならないのだと。

私は自分自身に強く強く刻み込んだ。

自分自身を強く保たなければ。

出来るならいつまでも、あなたの側で、ずっと…――