傾国の貴妃

そこまで言って、急に視界が暗くなった。

条件反射で無意識に目を閉じる。

そのまま、唇にギルの熱が伝わった。

深く、深く……

強く、強く……

ただ場を凌ぐしかなかった私の言葉を、全て呑み込んでしまうかのように。

自然、頭が真っ白になる。


「もう黙れ。黙って、俺の物になれよ、ローラ」


とろんと微睡む視界の先には、小さく微笑むギルの姿。

それは甘美な誘惑。

その先に続くのは、天国か、地獄か。


「お前はただ、俺のそばにいれば良い」


結局のところ。

私はその手を振り払うことなど出来はしないのだ。