傾国の貴妃

ギルの言葉は絶対。

きっとまだまだ言いたいことがあっただろうシンシアも、渋々といった表情で黙礼をすると部屋を出ていった。

シーンと静まり返った部屋で、ギルから出ている威圧感だけを強く感じさせる。

俯くしかない私に、分かり易いほどの大きな溜め息。

見なくてもわかる。

ギルの切れ長の瞳が、真っ直ぐに私を射抜く。

その視線を感じながらも、それを確認するなんてできなかった。


「…ローラ」


掠れた、甘く響く低い声。


「ローラ」


もう一度。

――その声に導かれるように、顔を上げたのが間違いだった。