傾国の貴妃



嫉妬という名の炎は、激しく大きく、全ての物を焼き尽くす。

火傷、なんて軽いものじゃ赦されない。


罪人にはそれ相応の罰を。

報いを。


世の中の均衡を崩した罪は重い。


エリザベート様を中心とした、姫君の均衡を守ってきた暗黙のルール。

知らなかった、なんて理由にならない。


墜ちていく。

声高く響く嘲笑と共に。


翼は折れた。

もう、飛び立てない。





――そう、多分この日から。私の世界は色を失った。




それでも、私は乞い願う。


ギルバート、と呼ぶ名を。

共に過ごす夜を。

交わす言葉を。


――失うことなんて、出来なかったんだ。