「そうね、音楽でも聞きませんこと?かの有名なサマルハーンの作曲家が作った曲なのですが、それはそれは素晴らしいのよ」
その一言で、近くにいたメイドが恭しくレコードを手にし、部屋は美しい音色に包まれた。
「実は先日、陛下とご一緒にサマルハーンで行われる年に一度の音楽祭に行って来ましたの。こちらはその時の一部ですわ」
“陛下とご一緒に”
まるでその言葉だけは私に向けて発したかのように、一瞬だけエリザベート様と目が合ったような気がした。
熱心に聴き入る姫君方を見ていると、やはりここではエリザベート様の権力に勝るものは無いのだと思い知らされる。
ギルとエリザベート様。
…お似合いなお二人。
「やはり、陛下にとっての貴姫はエリザベート様なのですわね」
ある一人の姫君がポツリと呟いたその言葉に、酷く傷つく私がいた。
明らかに、私に向けて放った言葉。
ギルが私の部屋に通っているという噂は、もう城内にいる皆が知っていること。
それを快く思う人などいないのだ。
ギルは私と一緒にいてくれるけれど、私が独占して良いお方ではない。
傷つく必要なんて、ないのに…――
その一言で、近くにいたメイドが恭しくレコードを手にし、部屋は美しい音色に包まれた。
「実は先日、陛下とご一緒にサマルハーンで行われる年に一度の音楽祭に行って来ましたの。こちらはその時の一部ですわ」
“陛下とご一緒に”
まるでその言葉だけは私に向けて発したかのように、一瞬だけエリザベート様と目が合ったような気がした。
熱心に聴き入る姫君方を見ていると、やはりここではエリザベート様の権力に勝るものは無いのだと思い知らされる。
ギルとエリザベート様。
…お似合いなお二人。
「やはり、陛下にとっての貴姫はエリザベート様なのですわね」
ある一人の姫君がポツリと呟いたその言葉に、酷く傷つく私がいた。
明らかに、私に向けて放った言葉。
ギルが私の部屋に通っているという噂は、もう城内にいる皆が知っていること。
それを快く思う人などいないのだ。
ギルは私と一緒にいてくれるけれど、私が独占して良いお方ではない。
傷つく必要なんて、ないのに…――
