傾国の貴妃

「今日は目一杯お洒落をして行きましょうね」


ニコニコと楽しそうに笑うシンシア。


「…いいよ、別に。見栄張らなくても」


他の姫君たちに比べて貧相な自分のタンスを思い浮かべながら首を横に振る。

邑の階級差は、そのまま経済面にも当てはまった。

当然、ルシュドだってけっして裕福とは言えない。

でも私は別に贅沢な生活を望んでいるわけじゃないから。

卑屈に思う必要なんてない。


「そう、ですわね…」


シュンとうなだれたシンシアは、本当に残念そう。


「ふふ。じゃあ、髪の毛アップにしてくれる?シンシア器用だもんね」


見かねて声を掛けた私に、瞳を輝かせてシンシアが顔を上げた。

そう、これで良い。

シンシアには、劣等感なんて抱いて欲しくない。


「ええ。お任せ下さい!必ず、どのお方よりもお美しく仕上げてみせますわ!」