傾国の貴妃

白く輝く雪景色。

触れたら冷たいんだけど、なんだか温かい、そんな不思議な雪。

毎日の雪かきはもう日課みたいなもので、身分の高い低いも関係なしにみんなでワイワイしながら雪に触れるのは、大好きだった。

ルシュドは小さな邑だけあって、そこで生まれたみんなをファミリーと呼ぶ。

身分なんて、有るようで無いようなもの。

みんなが家族だった。

みんなが友達だった。

みんなで一致団結する雪かき。

それが何よりも好きだった。

そのうちに、シルフィードに嫁ぐ身である私は、傷が出来てはダメだからと、参加させてはもらえなくなったけれど……


「そういえば、ローラ様。本日、エリザベート様が小さなお茶会を開くそうで、ローラ様が是非に、と」


そう、こことは大違い。

ここは権力第一主義。

身分の高さが何よりも大切。