傾国の貴妃

「あの、お召し物を…」


「いい」


「でも…」


「いいと言っている」


ああ、どうしよう!

きっと陛下も面倒に思ったに違いない。

急に泣き出して、抱き付いて。


「百面相」


「へ?」


「ローラは思っていることがすぐ顔に出る。見ていて厭きない」


クスクス笑う陛下に、私はますます顔を赤くする。


「お前はいい」


落ち込む私の髪を梳くように撫でながら、陛下は言った。

意味がわからず、首を傾げた私に、陛下の笑った顔が映った。