傾国の貴妃

「陛下…」


「なんだ?」


近くに来て、気付いてしまった。


「少し、お痩せになりました?」


久しぶりに見る、その姿。

頬に触れて、確かめる。

遠目で見ていた時には気付かなかった。

公務が忙しかった、と言った陛下はいつも通りだったから。

だけど、近くで見て、触れて確信した。

気付いてしまった。

気丈に、いつものように振る舞おうとする、陛下の強がりに。


「…そう見えるか?」


エメラルド色に輝く瞳が、まるで眩しい物を見るかのように、そっと細まる。


「ええ。一週間、そんなに何をなさっていたのです?」


忙しかったと言っていた陛下を疑ってしまった自分が恥ずかしい。

公務。

それはそんなに、痩せてしまう程大変なことだったのか。

どうして最初会った時から気付いてあげられなかったのか。