傾国の貴妃

決して穏やかとは言えない食事会は、ただただ息苦しいだけのものでしかなかった。

エリザベート様のその言葉に何も言えない私を襲うのは、エリザベート様やその周りを固める従者たちが向ける冷たい眼差し。

私は…

私は……――







「ローラ様…」


部屋に戻った私を迎えてくれたのは、心配そうに顔を歪ませたシンシアだった。

その場に居なかったシンシアだけど、もしかしたらシンシアは気付いていたのかもしれない。

このシルフィード城での絶対を。

暗黙の了解を。

私がそれを無意識に侵していたことに。

サマルハーンの血を受け継ぐ王の存在と、その宰相であるエリザベート様のお父上。

その2つのことが、サマルハーンの権力を、さらに強固なものにしていた。

きっと、サマルハーン以外からやって来た姫君は、ただの飾りでしかない。

王の寵愛を受けるべき姫君は、ただ一人。

エリザベート様だけ。

それが、道理。