傾国の貴妃

切れ長の瞳は、まるで面白いものを見るかのように、そっと細められた。

その体から発せられるオーラは、相変わらず私に恐れさえも感じさせる。

絡まる視線は、凶器。

震えそうになる体を必死に隠して、気丈に振る舞おうと何も言わない相手を見つめる。

これから起こることは、嫌でもわかっていた。

陛下に、私への愛情なんて望めないことくらい、知っている。

私は生け贄。

ルシュドからの捧げ物。

私の一生はこの方のためにあるのだ。

…どんなに嫌だとしても。

感情を押し殺して、ただ耐えればいい。

明日の朝日が昇るまで。

日は何度だって昇るから。