傾国の貴妃

「恨み言、が良かったのですか?」


わからない、と言ったように、陛下は面白いくらいに顔をしかめた。


「でしたら、他の邑の姫君の方のお部屋へ行くとよろしかったのに。きっと恨み言だらけですから」


エメラルド色に輝く瞳が、射抜くように私を見ている。

一年。

陛下にとって、この一年がどのようなものだったのかなんて知らない。

ただ、私にとってこの一年は……


「王への贄にだって、感情があったのです。その贄に、贄としての準備をさせたのがこの一年。この一年にだって、意味はあったのです。だから私は、王を責めるだなんて、そんな恐れ多いこと…」


ただ、にこりと微笑んで陛下を見上げた。

そっと、深呼吸。