傾国の貴妃

「やりましたわね、ローラ様」


そんな堂々巡りの私の思考を破ってくれたのは、爛々と目を輝かせたシンシア。

両手を胸の辺りでぎゅっと結び、興奮を抑えきれないように震えていた。


「この城へ来て、一年。ローラ様…、ああ、ローラ様!よかったですわ」


終いには泣き出してしまったシンシアに、ようやく自分の立場を再確認することが出来た。

そうだ。

これは喜ぶべきこと。

ルシュドのためにここへ来た私の唯一の義務。

ようやくそれを果たす時が来たのだと、美しく光るシンシアの涙に、私の涙も零れ落ちた。